退職代行とは?仕組み・運営元3種類の違い・料金相場・流れをわかりやすく解説

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退職代行とは

退職代行とは、本人に代わって第三者が会社へ「辞めます」という意思を伝えるサービスです。上司と顔を合わせずに退職の手続きを進められる一方、誰が運営しているかによって、できることの範囲と料金が大きく変わります。

2026年2月には大手サービス「モームリ」の運営会社の元社長らが弁護士法違反で逮捕され、「退職代行は違法なのか」という不安も広がりました。この記事では、退職代行の仕組み、運営元3種類の違い、料金の目安、依頼の流れ、そして法律上の線引きを、利用を考えている人の目線で整理します。

この記事のポイント
  • 退職そのものは労働者の権利で、期間の定めのない雇用なら、申し入れから2週間で契約は終わる(民法627条)
  • 運営元は「民間企業」「労働組合」「弁護士」の3種類。会社との交渉ができるのは労働組合と弁護士だけ
  • 料金の目安は、民間企業1万〜5万円、労働組合2.5万〜3万円前後、弁護士5万〜10万円
  • 依頼前に確認すべきは「誰が対応するのか」「どこまで対応してもらえるのか」の2点
目次

退職代行とは:本人の代わりに退職の意思を伝えるサービス

退職代行は、依頼者から聞き取った内容をもとに、代行者が会社へ連絡して退職の意思を伝えるサービスです。依頼者は会社と直接やり取りせずに退職の手続きを進められます。

利用が広がった背景には、「辞めたいと言い出せない」「強く引き止められる」「精神的に限界で話し合う余力がない」といった事情があります。退職代行は、こうした状況で本人と会社の間に入る役割を担います。

そもそも退職は労働者の権利

前提として、退職は会社の許可を得るものではありません。期間の定めのない雇用契約(いわゆる正社員の多く)であれば、労働者はいつでも退職を申し入れることができ、申し入れから2週間が経過すると雇用契約は終了します(民法627条1項)。

つまり退職代行は「辞める権利」を新たに生むものではなく、すでにある権利を行使するための伝達手段です。契約社員など期間の定めがある雇用では扱いが異なるため、契約内容を確認しておきましょう。

退職代行の運営元は3種類

退職代行サービスは、運営しているのが誰かで「できること」が法的に決まります。ここが退職代行選びで最も重要なポイントです。

運営元 できること 料金の目安 向いている人
民間企業 退職の意思を伝えることのみ。会社との交渉はできない 1万〜5万円 会社と揉める心配がなく、意思だけ伝われば十分な人
労働組合 団体交渉権にもとづき、退職日や有給休暇の消化などを会社と交渉できる 2.5万〜3万円前後(組合費が別途かかる場合あり) 有給消化や退職日の調整など、条件の話し合いが必要になりそうな人
弁護士 交渉に加え、未払い残業代の請求、損害賠償への対応、労働審判や訴訟まで対応できる 5万〜10万円(回収額に応じた成功報酬が加わる場合あり) 未払い賃金やハラスメントなど、法的なトラブルを抱えている人

料金は運営元ごとの一般的な相場で、サービスごとに異なります(出典:ルフト・メディア、ファイナンシャルフィールド)。

民間企業:伝えるだけなら最も手軽

民間企業が運営するサービスは料金が比較的安く、即日対応や24時間受付など使い勝手のよいものが多くあります。ただし、資格を持たない事業者ができるのは、本人の意思をそのまま伝える「使者」としての役割に限られます。会社から「有給は認めない」「損害が出る」などと言われても、反論や条件の調整はできません。

労働組合:交渉が必要になりそうなら

労働組合が運営するサービスでは、依頼者が組合に加入し、組合が団体交渉権にもとづいて会社と話し合います。退職日や有給休暇の消化などについて交渉できるのが、民間企業との大きな違いです。一方で、訴訟や労働審判のような法的手続きの代理はできません。

弁護士:法的なトラブルまで任せたいなら

弁護士は依頼者の代理人として、交渉から法的手続きまで一貫して対応できます。未払い残業代の請求、パワハラによる慰謝料、会社からの損害賠償の主張など、法律の問題が絡む場合は弁護士が確実です。費用は高めになります。

退職代行は違法?非弁行為の線引き

退職代行そのものは違法ではありません。問題になるのは、弁護士ではない者が、報酬を得る目的で法律事務を扱うことで、これは弁護士法72条が禁じる「非弁行為」にあたります(弁護士法)。

行為 民間企業が行った場合
「〇月〇日で退職します」という本人の意思を会社に伝える 適法(使者の範囲)
会社からの返答を本人にそのまま伝える 適法
有給休暇の消化や退職日を会社と調整する 非弁行為となるおそれ
未払い残業代を計算して会社に請求する 非弁行為となるおそれ
「法的に損害賠償の義務はない」と会社に反論する 非弁行為となるおそれ

東京地裁の令和2年2月3日判決では、退職の意思を伝える時点で法的な争いが生じることがほぼ避けられないような事情があれば、非弁行為にあたりうるという考え方が示されました。この事件では、会社が「雇用契約ではない」と主張した時点で業者が対応を止めたため、違法とはされていません。

2026年のモームリ事件で問題になったこと

2026年2月3日、退職代行サービス「モームリ」を運営する株式会社アルバトロスの当時の代表取締役らが、弁護士法違反(非弁提携)の疑いで逮捕され、同月24日に起訴されました。問われたのは、利用者を特定の弁護士に紹介し、その見返りとして紹介料を受け取っていた点です。2026年6月には、紹介を受けていた弁護士側にも有罪判決が言い渡されています。運営会社は代表者を交代し、同年4月にサービスを再開しています(出典:伊藤塾コラム)。

この事件から分かるのは、「弁護士監修」という表示だけでは、そのサービスが適法である保証にはならないということです。確かめるべきは監修の有無ではなく、実際に誰が対応し、どこまで対応するのかです。

退職代行の流れ

サービスによって細部は異なりますが、一般的には次の流れで進みます。

  1. 相談・申し込み:LINEやメール、電話で状況を伝え、料金や対応範囲を確認したうえで申し込む
  2. 支払いと聞き取り:料金を支払い、勤務先の情報、希望する退職日、有給休暇の残り日数、返却物などを伝える
  3. 会社への連絡:代行者が会社に連絡し、退職の意思と本人の希望を伝える
  4. 書類と貸与物のやり取り:退職届や保険証、社員証などは郵送でやり取りするのが一般的。離職票などの書類の送付も会社に依頼する
  5. 退職完了:退職日を迎え、必要な書類が届いたら完了

依頼する前に確認したいこと

  • 運営元は誰か:民間企業・労働組合・弁護士のどれか。サイトの運営者情報で確認する
  • どこまで対応してもらえるか:意思を伝えるだけか、有給消化や退職日の交渉まで含むか
  • 料金に何が含まれるか:組合費、成功報酬、オプション費用などの追加料金の有無
  • うまくいかなかったときの扱い:退職できなかった場合の返金の有無と条件
  • 自分の状況に法的な問題があるか:未払い賃金やハラスメントがあるなら、最初から弁護士に相談するほうが確実

よくある質問

退職代行を使うと、会社から本人に連絡が来ることはありますか?

あります。代行者が「本人への連絡は控えてほしい」と伝えるのが一般的ですが、会社に連絡を禁止する法的な強制力はありません。会社から連絡が来た場合の対応方針も、依頼時に確認しておくと安心です。

有給休暇は消化できますか?

年次有給休暇の取得は労働基準法で認められた労働者の権利です。ただし、会社が応じない場合に交渉できるのは労働組合か弁護士だけです。有給消化を確実にしたいなら、交渉できる運営元を選びましょう。

会社から損害賠償を請求されることはありますか?

退職したこと自体を理由に損害賠償が認められるケースは多くありませんが、ゼロとは言い切れません。会社から請求をほのめかされている場合や、重要な業務を途中で放棄する場合は、弁護士に相談してください。

まとめ

退職代行は、辞める権利を行使するための伝達手段です。選ぶときに一番大切なのは、料金の安さよりも運営元と対応範囲です。意思を伝えるだけで済むなら民間企業、条件の交渉が必要なら労働組合、法的なトラブルがあるなら弁護士、と自分の状況に合わせて選びましょう。

※本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の事案についての法的な助言ではありません。具体的なトラブルについては弁護士などの専門家にご相談ください。

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この記事を書いた人

キャリアレポート編集部は、退職代行と退職時の労働トラブルに関する情報を調べてまとめています。記事は法令(e-Gov法令検索)、行政機関や弁護士会の公開情報、報道などをもとに作成し、出典を記事内に明記しています。特定のサービスに偏らず、運営元・料金・対応範囲を比べられるようにすることを編集方針としています。個別の法的判断が必要なケースは、弁護士などの専門家への相談をおすすめしています。

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