退職代行モームリの弁護士法違反事件とは?逮捕から判決までと利用者への影響

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モームリ事件

退職代行モームリをめぐる事件で罪に問われたのは、退職代行サービスそのものではなく、利用者を弁護士に紹介して紹介料を受け取っていた「非弁提携」です。2026年2月に運営会社の当時の社長らが弁護士法違反の疑いで逮捕・起訴され、8月28日に東京地裁で有罪判決が言い渡されました。紹介を受けていた弁護士側も有罪判決を受けています。

報道や公表資料によれば、運営会社は代表者を交代したうえでサービスを続けています。この記事では、事件の流れを出典付きで時系列にまとめ、何が違法とされたのか、利用者や利用を考えている人にどんな影響があるのかを整理します。

なお、本記事は報道・公表された事実のみをもとにしています。当事者の個人名は記載していません。

この記事のポイント
  • 問題とされたのは、退職交渉が必要な利用者を弁護士に紹介し、紹介料を受け取っていたこと
  • 業者側は弁護士法72条(周旋の禁止)、弁護士側は27条(非弁提携の禁止)が問題になった
  • 運営会社は、判決は紹介料の受領に関するもので、サービス自体への司法判断ではないとの見解を示している
  • どの退職代行を使う場合も、運営元と、交渉が必要になったときの対応を確認することが大切
目次

退職代行モームリ事件の時系列

事件の流れを、報道や公表資料で確認できた範囲でまとめます。

時期 出来事 出典
2025年10月 運営会社に家宅捜索が入る 伊藤塾
2026年2月3日 警視庁が、運営会社アルバトロスの当時の社長らを弁護士法違反の疑いで逮捕 東京商工リサーチ
2026年2月24日 東京地検が2人を起訴 伊藤塾
2026年4月1日 代表取締役が交代(3月31日に公表) 伊藤塾
2026年4月23日 運営会社が新規受付の再開を発表 弁護士JPニュース
2026年5月26日 東京地裁で初公判。2人は起訴内容を認める 伊藤塾
2026年6月5日 検察が前社長に懲役2年、元執行役員に懲役1年6月、法人に罰金200万円を求刑し結審 弁護士ドットコムニュース
2026年6月5日 紹介を受けていた弁護士法人の代表弁護士に懲役1年6月・執行猶予3年、法人に罰金150万円の判決 伊藤塾
2026年8月28日 東京地裁が前社長に懲役2年・執行猶予3年、元執行役員に懲役1年6月・執行猶予3年、法人に罰金200万円の判決。あっせんした依頼者は計174人と認定 熊本日日新聞(共同通信)
2026年10月7日 東京地裁が、モームリ運営会社から法律事務の紹介を受けたとして弁護士法違反などの罪に問われた、6月5日とは別の弁護士法人の代表弁護士に、懲役2年・執行猶予3年の判決 熊本日日新聞(共同通信)、弁護士ドットコムニュース

弁護士ドットコムニュースは2026年9月28日の記事で、前社長の一審の有罪判決は確定したと報じています。同じ記事では、非弁提携の罪に問われた弁護士は2人で、そのうち1人は一審で懲役1年6月・執行猶予3年の判決を受け、控訴中とされています(弁護士ドットコムニュース)。

何が罪に問われたのか

報道によると、問題とされたのは、退職にあたって会社との法的な交渉が必要な利用者を弁護士に紹介し、その見返りに紹介料を受け取っていた行為です。

求刑を伝えた弁護士ドットコムニュースによれば、紹介料は顧客1人あたり1万6500円で、労働組合への賛助金やアフィリエイト広告の業務委託料などの名目で受け取っていたとされています。検察は、弁護士2名から1年8か月にわたり174人分、280万円余りを繰り返し受け取ったとして、常習的で悪質だと指摘しました。

8月28日の判決では、174人の依頼者を弁護士にあっせんして紹介料を得ていたことが認定されました。裁判所は「弁護士制度の公正円滑な維持運営に影響を与えかねない大規模かつ職業的な犯行」と指摘し、利益を優先して法令の順守を軽く見ていたと非難したと報じられています(熊本日日新聞(共同通信))。

弁護士法27条と72条の関係

この事件では、紹介した側と紹介を受けた側で、問題になる条文が異なります。条文はe-Gov法令検索の弁護士法で確認できます。

条文 内容 事件での立場
72条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止) 弁護士でない者が、報酬目的で法律事務を取り扱うことや、その周旋(あっせん)を業とすることを禁止 利用者を弁護士に紹介して紹介料を得た運営会社側
27条(非弁護士との提携の禁止) 弁護士が、72条から74条に違反する者から事件の周旋を受けることや、名義を利用させることを禁止 紹介を受けていた弁護士側
77条(罰則) 27条・72条などに違反した者は、2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金 双方

このように、弁護士でない業者と弁護士が手を組み、紹介料のやり取りで事件を回す関係を「非弁提携」と呼びます。弁護士ドットコムニュースの解説では、非弁業者を通すと中間マージンが生じて依頼者の負担が増える可能性や、弁護士が依頼者の利益よりも業者への見返りや関係の維持を優先するおそれが指摘されています(弁護士ドットコムニュース)。

弁護士法72条の考え方や、退職代行で適法とされる範囲は退職代行は違法?非弁行為で詳しく解説しています。

退職代行サービス自体が違法とされたわけではない

この事件では、退職代行という事業そのものが違法と判断されたわけではありません。弁護士ドットコムニュースは、罪に問われたのは顧客を弁護士に有償で紹介したことによる周旋と非弁提携であり、退職代行事業そのものが非弁行為とされたわけではないと解説しています(弁護士ドットコムニュース)。

運営会社も判決当日、判決は「紹介料の受領に関する」ものであり、サービス自体への司法判断ではないとの見解を公表し、サービスを継続しているとされています(東京商工リサーチ)。

一方で、法令を守って運営する民間の退職代行は、残業代の請求や有給休暇の消化について交渉できず、退職の意思を伝える役割にとどまるとも指摘されています(同)。営業再開を伝えた弁護士JPニュースでも、運営会社は外部の専門家を入れて法令順守を図る方針で、会社との交渉は一切行わない形になる見込みと報じられました。

退職代行モームリと弁護士の関係は?

「モームリ 弁護士」と検索する人の中には、モームリが弁護士の退職代行なのかを知りたい人もいると思われます。モームリの運営元は株式会社アルバトロスという民間企業です(東京商工リサーチ)。弁護士や弁護士法人が運営する退職代行ではありません。

民間企業が運営する退職代行は、弁護士法上、会社との交渉や法的な請求を自ら行うことができません。そのため、交渉が必要になった利用者を弁護士に紹介する形がとられ、その紹介に紹介料が絡んだことが事件の核心でした。弁護士に直接依頼する退職代行との違いは弁護士の退職代行で解説しています。

利用者・利用を考えている人への影響

報道や判決は運営会社と弁護士の刑事責任についてのものであり、退職代行を依頼した利用者が罪に問われたという報道は確認できていません。弁護士法の罰則は72条や27条に違反した者を対象としています(e-Gov法令検索)。

ただし、利用者に関係する点もあります。

  • 紹介料が弁護士費用に上乗せされていた場合、依頼者の負担が増えていた可能性があると解説されている(弁護士ドットコムニュース)
  • 会社側の受け止めも変わりつつある。東京商工リサーチが2026年4月に行った企業向けアンケートでは、30.4%の企業が弁護士・労働組合以外の退職代行業者からの連絡には応じないと回答した(東京商工リサーチ)
  • 事件後の営業再開にあたり、会社との交渉は行わない形になる見込みと報じられている(弁護士JPニュース)

過去に利用して弁護士を紹介された人で、費用や対応に疑問がある場合は、弁護士会の法律相談などで個別に確認するのが確実です。これから利用を考えている人は、次の点を事前に確認しておきましょう。

  1. 現在の運営体制と、サービスの対応範囲(意思の伝達のみか)
  2. 有給休暇や未払い賃金など、交渉が必要になった場合の対応
  3. 別の弁護士や労働組合を紹介される場合、その費用と仕組み

事件から分かる退職代行の選び方

この事件は、退職代行を選ぶときに「料金の安さ」や「知名度」だけで判断する危うさを示しています。選ぶ際のポイントは次のとおりです。

確認すること 理由
運営元は民間企業・労働組合・弁護士のどれか 運営元によって、会社と交渉できるかどうかが変わる
交渉が必要な事情があるか 有給消化や未払い残業代、損害賠償の話が出そうなら、交渉できる運営元のほうが安全
提携先への紹介の有無 紹介料が絡むと非弁提携の問題になりうる
「弁護士監修」などの表示 監修の表示は、サービスの適法性を保証するものではないとされる(伊藤塾)

東京商工リサーチは、退職代行の市場で代行業者・労働組合・弁護士が競合するようになり、今後淘汰が進む可能性があると分析しています(東京商工リサーチ)。運営元ごとの料金の違いは退職代行の料金相場、労働組合が運営する場合は労働組合の退職代行を参考にしてください。

よくある質問

モームリを使って退職した人が罰せられることはありますか?

この事件で罪に問われたのは運営会社と前社長ら、紹介を受けていた弁護士です。利用者が罪に問われたという報道は確認できていません。弁護士法の罰則も、法律事務の周旋などを業として行った側を対象としています。

モームリは今も営業していますか?

報道によると、運営会社は2026年4月に代表者を交代し、4月23日に新規受付の再開を発表しました。8月28日の判決後も、サービスを継続していると報じられています。最新の状況は運営会社の公表情報で確認してください。

この事件で退職代行全体が違法になったのですか?

なっていません。問題とされたのは弁護士への有償紹介です。退職の意思を伝えるだけの代行は、民間業者でも一般に適法と考えられています。ただし、会社との交渉まで行うと非弁行為になる可能性があります(詳しくは退職代行は違法?非弁行為)。

まとめ

退職代行モームリの事件では、交渉が必要な利用者を弁護士に紹介して紹介料を受け取っていたことが、弁護士法違反として罪に問われました。運営会社側は72条、弁護士側は27条が問題とされ、双方に有罪判決が言い渡されています。

退職代行という仕組み自体が違法とされたわけではありません。ただし、民間業者ができるのは退職の意思を伝えるところまでです。退職代行を選ぶときは、運営元と対応範囲、交渉が必要になったときの扱いを必ず確認しましょう。

※本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の事案についての法的な助言ではありません。具体的なトラブルについては弁護士などの専門家にご相談ください。

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この記事を書いた人

キャリアレポート編集部は、退職代行と退職時の労働トラブルに関する情報を調べてまとめています。記事は法令(e-Gov法令検索)、行政機関や弁護士会の公開情報、報道などをもとに作成し、出典を記事内に明記しています。特定のサービスに偏らず、運営元・料金・対応範囲を比べられるようにすることを編集方針としています。個別の法的判断が必要なケースは、弁護士などの専門家への相談をおすすめしています。

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